将来にわたり需要が増加する介護職と人手不足の課題

2040年に、日本の高齢者人口はピークを迎えると言われています。
一方、高齢者を支える現役世代の人口は減少します。
その不均衡によって生じる様々な問題を、2040年問題と言います。
介護業界における2040年問題は、人手不足がより深刻化することが挙げられます。
高齢化に伴う介護需要の増加に対して、支え手を確保するのが困難だからです。
よって介護業界の有効求人倍率は依然として高く、他の業種と比べてもかなりの売り手市場です。
また、介護という仕事の特性上IT化が進んでも、AIにすべての仕事を奪われることはありません。
そういう意味で介護業界は将来性があり、伸びしろのある業界です。

一方、課題もあります。
最初に述べたように介護業界の人手不足はかなり深刻です。
令和元年の介護労働安定センターの調査によると、介護職の6割が3年未満で退職しています。
穴の空いたバケツにいくら水を入れても意味がないのと一緒です。
離職理由は、自分の将来の見通しが立てなかったこと、結婚や妊娠、出産、育児のためという理由が上位です。
つまりそれぞれの事業所で、どのような経験を積めばキャリアアップが可能なのかを明確にすることが大切といえます。

加えて女性には、妊娠や出産などでライフスタイルが変わってからも、職場復帰しやすい制度や環境を整えることが大切だとわかります。
確かに、外国人の介護人材を増やせばいいという意見もありますが、高齢化社会を迎えるのは日本だけではありません。
今や各国の争奪戦なのです。
であれば、現役の介護職の離職者を減らし人材を育てることが、来たる2040年問題に向けた急務だといえます。